重力に戯れる愉しみ

主にバックカントリースキーの備忘録を書いています

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南アルプス縦走 2010年8月10日~16日(6日目)

南アルプス縦走の 6 日目。三伏峠でさんざん迷った結果、縦走を続行することにしました。今日は三伏峠小屋から熊ノ平小屋までです。

  • 日付: 2010 年 8 月 15 日(日)
  • 天気: 霧のち小雨、夕方から晴れ
  • ルート: 三伏峠小屋~塩見岳~北荒川岳~新蛇抜山~安倍荒倉岳~熊ノ平小屋(テント泊)

一縷の望みはかけてみたものの、4 時頃に起きてみるとやはり大方の予想通り今朝もガスガスでした。ラーメンを食べながら、そして食後もずっと下山するか縦走を続けるか迷っていました。

ここのテント場は携帯の電波が入るので 4 時発表の予報を見てみると、今日の天気は曇り基調、明日は晴れが期待できそうです。今日の天気がそう荒れずにそこそこで、明日晴れるならばそれに賭けようということで、最終的に縦走を続行を決心しました。

6:40 三伏峠小屋

そんなわけでさんざん悩んだ結果、起床時刻から出発までやたらと時間がかかってしまいました。

朝方はパラパラと雨粒がフライシートを叩く音が時折聞こえましたが、今はすっかり止んでいます。塩見岳へ向けて歩を進めることにします。ここからの道はつい先月に通ったばかりです。

三伏山から下ってしばらくすると、三伏沢幕営禁止の看板が掲げられています。

三伏沢幕営禁止の看板

三伏沢幕営禁止の看板

たぶんここは旧三伏小屋への分岐点だった所だと思いますが、今はもう沢へ下る登山道らしき跡がすっかり薄くなっています。地図上では点線ルートということになっていますが、ロープで通せんぼされているので、事実上は廃道ということなのでしょう。

本谷山の手前にはお花畑が点在

本谷山の手前にはお花畑が点在

先月と違っていたのは、本谷山までの所々にお花畑があることです。たしか先月は全然咲いていなかったはずです。

7:48 – 7:55 本谷山

本谷山には 1 時間ちょっとで到着。

本谷山

本谷山

休憩していると、三伏峠のテント場で近くだった 4 人パーティがすぐ後からやって来ました。

倒木帯を過ぎてちょっと先の最低鞍部は、ここ数日の降雨のためにすっかりヌタヌタになっています。

塩見新道との分岐は 9:21 に通過。分岐のすぐ上にある見晴らしの良い岩場でひと休みしました。もちろん今日はガスってなにも見えませんが。

9:53 塩見小屋

右がショートカット道

右がショートカット道

小屋の手前ではショートカット道を選び、今日は小屋には立ち寄りません。

ガスの晴れ間に一瞬見えた天狗岩

ガスの晴れ間に一瞬見えた天狗岩

天狗岩の手前でガスが晴れて、天狗岩の姿が見えましたが、残念ながらほんとに一瞬のことでした。

重荷を背負っていると塩見岳山頂の急な岩場は登りは堪えます。

11:11 – 11:21 塩見岳西峰

それでもなんとかコースタイムと同じくらいのペースで西峰に登頂しました。

塩見岳の西峰

塩見岳の西峰

西峰にはさきほどの 4 人パーティが先着していたので、そのうちの 1 人の男性と歓談を。

男性「きょうは熊ノ平まで行くんだって?」

私「そうなんですよ。畑薙から広河原まで縦走しているんですが」

男性「へえ~、やっぱり南アルプスには変な人がいるねえ」

私「そうそう、南はやたらとザックがデカかったり、ロングルートの人が多いんですよね」

男性「仙人っぽいオーラを全身から漂わせる人がときどきいるんだよね、南の長期縦走者って」

そうなんですよね。南アルプスには「南マニア」っぽい人が多いと、私自身も思い当たるところです。

南アルプスの魅力の本質って何なんでしょうね?森林限界が高くて地味な樹林帯の歩きが長いし、山のボリュームが大きくてひとつひとつ越えて行くのも苦労が多いし、むしろ辛いことの方が多いように思います。それでもやっぱり、至れり尽くせりな小屋が並ぶ北アルプスとは違うプリミティブな雰囲気、アプローチの悪さゆえの奥地感、他の山域ではなかなか望めないありのままの山の恵みから直に得られる美味しい水・・・等々、そんなところが魅力なのかもしれません。

11:24 – 11:29 塩見岳東峰

西峰からたった 3 分で東峰に到着。

塩見岳の東峰

塩見岳の東峰

ガスガスで景色も見えませんし、証拠写真だけ撮って早々に出発です。

蝙蝠尾根への分岐を過ぎてさらに下り続けます。そろそろ雪投沢のテント場跡が近いと思うのですが、ガスのせいでどのあたりかはっきり判りません。キャンプ地指定から外れているので道標の類もすでに撤去されているのでしょうか。

ザレた広い稜線から東側に一段下る

ザレた広い稜線から東側に一段下る

稜線から東側に一段下がると、しばらくは綺麗な花が一面に咲くお花畑の中を通ります。

お花畑の中を通る

お花畑の中を通る

アップダウンの少ない快適な道を花を眺めながら通り過ぎるのは、ガスって景色が楽しめない日には一服の清涼剤のようです。

13:16 – 13:35 北荒川テント場跡

北荒川岳のテント場跡

北荒川岳のテント場跡

お花畑の向こうに小さな小屋が見えてくると、北荒川岳のテント場はもうすぐです。かつて管理小屋だったらしき小屋の前で休憩としました。小屋の窓には木が打ち付けられてすっかり閉鎖されています。

今までに Web では写真を見たことがありますが、こうやって実際に現地に来てみると、北荒川岳のテント場を閉鎖したのはつくづくもったいない気がします。こんなに綺麗なお花畑が近くにあって、静謐さに包まれた良い雰囲気は、営業小屋に隣接するよくありがちなテント場ではなかなか味わえないものです。閉鎖されるにあたっては、辺鄙なところにあって管理が面倒だったなど、理由はそれなりにあったのでしょうが。幕営地の下に水場があるせいで、水質悪化が問題になったとも聞きます。

しばらく雨が止んでいるので、着干しするつもりで合羽の上下を着て出発します。

ところが雨上がりに喜んだのも束の間、小屋からザレた斜面を登って広い稜線を歩いていると、大雨が降り出してしまいました。偶然とはいえ寸前に合羽を着込んだことが吉と出たわけですが・・・これじゃ着干しにならないよ・・・。

それにしても、連日連日雨にたたられるのにはもうウンザリです。思わず「いい加減雨はもう勘弁してくんないかなあ!」と心の叫び思わず大声となって口をついて出てしまう始末。

13:51 北荒川岳

テント場からは北荒川岳まですぐです。ここから塩見岳の雄大な姿を眺めたかったけど、それはまたの機会に取っておくことにして、今日は通り過ぎるだけです。

この後は稜線の東側へググっと高度を下げて樹林帯に入ります。

倒木帯

倒木帯

こんな倒木帯も通り過ぎました。

東俣を見下ろす

東俣を見下ろす

幸いその後雨は止んでくれて、新蛇抜山を巻く頃になると、東側のガスが少し晴れて大井川東俣の白い水流や、白根南嶺の下部斜面が見えるようになりました。

15:09 – 15:34 竜尾見晴

樹林帯から飛び出て稜線上に乗ると、岩がゴツゴツした竜尾見晴に到着。

竜尾見晴

竜尾見晴

ちょっと長めの休憩とします。ここは眺めの良い展望台のようですが、あいかわらず見えるのは東俣の谷間だけです。

16:20 安倍荒倉岳

長々と樹林帯を歩くのにも飽きた頃、「安倍荒倉岳 1 分」の看板を発見。

「安倍荒倉岳 1 分」の案内板

「安倍荒倉岳 1 分」の案内板

縦走路から外れてほんの少し上がっただけで登頂です。

案内なしではまず気付きそうにない安倍荒倉岳の山頂

案内なしではまず気付きそうにない安倍荒倉岳の山頂

樹林に囲まれた地味なことこの上ないピークで、看板がなければ気付かずに通り過ぎていたでしょう。

ほどなく樹林帯から抜け出て稜線上へ。正直なところ稜線上に幾つかある小ピークの方がさきほどの安倍荒倉岳山頂よりも立派で、よっぽど「山頂」っぽい感じがします。

16:50 熊ノ平小屋

また東側の樹林帯へ一気に下るとやがて発電機の音が聞こえてきて、小屋がもう近いことが判ります。

ようやく見えた熊ノ平小屋

ようやく見えた熊ノ平小屋

三伏峠からほぼ 10 時間で熊ノ平小屋に到着。やっぱりそれなりに時間がかかるものですね。

雪投沢、北荒川岳が指定地から外れ、この間にまったくテント場がなくなったために、この縦走路を重いテント泊装備で歩き通すのは、今やかなり難易度が高い状況になってしまったと思います。それが南アルプスらしさなのだと言えば、まあそうなのでしょうけれど。

この先を下ると水場とトイレ

この先を下ると水場とトイレ

熊ノ平小屋に到着

熊ノ平小屋に到着

私とほぼ同時に幕営申し込みした若い方は、今朝白根御池からやって来たとのこと。これから光岳を目指すそうです。

小屋から少し離れた井川越寄りの眺めの良い場所にまずはテントを張って、ほっと一息つきます。

熊ノ平のテント場

熊ノ平のテント場

夕食の準備中

夕食の準備中

やがてガスはすっかり晴れ上がり、テント場の正面にどーんと大きな山の姿が迫ってきました。

夕日に染まる農鳥岳

夕日に染まる農鳥岳

蛇足ながら、このときはこの山をてっきり間ノ岳だと思い込んでいました。実は農鳥岳だということが翌朝判ったわけですが。

暮れゆく熊ノ平

暮れゆく熊ノ平

暮れゆく空に紅く染まった雲が浮かぶ夕景。そういえばこんな綺麗な夕空を見たのは今回の縦走で今日が初めてだなあ・・・。

飲み干したビールの缶を返却するため小屋に向かったときに、先ほどの若い方とまた会って、しばらく山談義を楽しみました。お互い明日朝早いので、そこそこに話しを切り上げて「お休みなさい、それではお気を付けて」。

月明かりが綺麗な夜空の下、明日の晴天を期待して眠りにつきました。

7 日目の記録に続く。


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