- 日付: 2010 年 8 月 1 日(日)
- 天気: 晴れのち曇り
- ルート: 鳳凰小屋~地蔵岳~高嶺~早川小屋~アサヨ峰~栗沢山~北沢峠
2 時半頃に起床。いつものようにお茶漬けで腹を満たします。
テントから外を覗くと雲ひとつない夜空ですが、月の光が明るすぎるせいで星降るような夜空とはならなかったのは残念。でも、これなら今日は御来光が綺麗に見えそうです。
3:39 鳳凰小屋
昨日下ってきたショートカット道を登り返すつもりでしたが、やっぱり時間短縮のために地蔵岳への直登ルートをとることにしました。
まだ真っ暗な樹林帯をヘッドランプを点けて登ります。樹林帯を抜け出す頃には空が明るくなり始めました。
地蔵岳直下は砂地の急斜面なので、後にズルズル滑ってなかなか登るのも大変です。「なんだかアリ地獄みたい」という前回の記憶どおりです。
こんなに早い時間にはまだ誰も登ってきていないかな・・・と思ったら 3 人ほど先客がいました。
4:45 – 5:38 地蔵岳
たくさんのお地蔵様が日の出の方向を向いて立っている鞍部にザックを置き、オベリスクへ向かうことにします。
前回はオベリスクを見上げるだけでしたが、せっかくなので今回は無理のない程度に、登れるだけ登ってみようと思います。
まずはオベリスクの尖端を左から巻いて、御来光が見える所まで行ってみることにします。
登り着いたところでちょうど太陽が上がってきました。
御来光を眺めたのはオベリスクの尖端のすぐ下です。
太陽が昇ってくる方向を見ると、すぐそばに展望台のようなものが見下ろせます。あそこまではどうやって行くのかな・・・?結局判らずじまいでしたが。
登りのときにはオベリスクの尖端へ登るルートがよく判らなかったのですが、下に戻る途中でチムニー状の岩溝に残置ロープが懸かっているのが目に入りました。
なるほど、その下までやってくると岩溝伝いに登ればオベリスクの上に行けそうです。上の写真での場合、右側を回り込んでから直上するということになります。
度重なる人の行き来で跡がついたのか、人為的に削ったのか判りませんが、岩にはしっかりステップが切ってあります。これなら登れるかな・・・と試してみますが、底の硬い重登山靴ではスタンスが不安定で手強い感じ。登るだけなら良いけれど下りはちょっと心配かな・・・、ということで登るのは止めておきました。今回はアプローチシューズを履いこようかと迷ったけれど、やっぱりそっちの方が良かったかな。
それはそうとして、オベリスクの直下から朝の素晴らしい景色をしばらく堪能します。
昨日はガスガスでよく見えなかった観音岳のピラミダルな形が今朝はよく見えます。
白峰三山へ目をやると、赤抜沢ノ頭越しに上の方だけが見えています。
朝日に赤く染まった北岳が良い感じです。
甲斐駒へとずっと延びる早川尾根も朝日に照らされています。
今日はこれを歩き通すのか・・・長いなあ。
さて、今日は長い行程なのであんまりのんびりしていられません。
鞍部にデポしてあったザックを回収して、赤抜沢ノ頭へはひと登りです。
5:50 赤抜沢ノ頭
赤抜沢ノ頭で縦走路に合流。
北岳の大きな姿が迫ってきます。
これから進むルートの先には、思っていたよりも尖った形の高嶺が見えます。
しばらくは眺望の素晴らしい稜線を楽しみながら進みます。
ずっと眺望を楽しんでいたいところですが、まだ朝の 6 時過ぎだというのに、どんどん雲がわき上がってきました。いくら真夏とはいえちょっと早すぎです。振り返ればあっという間に地蔵岳はガスに煙ってしまいました。
6:39 – 7:17 高嶺
今朝早川小屋を出発したという方が、すでに高嶺の山頂に到着していて、少しお喋りを。早川小屋から 2 時間で来たそうで、速いなあ。
ここの三角点標石は、赤文字という珍しいものです。
それにしても、この高嶺からの北岳は見事です。さきほど赤抜沢ノ頭からの眺めよりもさらに素晴らしい。
北岳のどっしりした巨体の左右に、まるで翼を広げたように池山吊尾根と小太郎尾根が延びていて、見入ってしまいます。
大樺沢が広河原からまっすぐに駆け上がるさまが一望できます。
大樺沢の残雪は例年よりもだいぶん多いようです。
北岳の展望台として、早川尾根は一番良いロケーションではないでしょうか。
薬師岳の山頂の岩は、まるで「ミニオベリスク」といった感じに見えます。
その後も続々と早川小屋からの人達が登ってきました。
高嶺からは「え~こんなに下るの?」というほど一気に下って白鳳峠へ。途中にはガレ場もあったりして、なかなか変化があります。
白鳳峠から先の稜線はすっかりガスに包まれています。
7:58 白鳳峠
白鳳峠は静かな樹林帯の中。
高嶺からの下りで何人かとすれ違った以外、全く人に会いません。早川尾根は静かな縦走路です。
8:31 赤薙沢ノ頭
赤薙沢への登りはそうたいしたものではないのですが、疲れがたまっているせいかペースが上がりません。昨日に較べるとかなり遅い感じ。
赤薙沢ノ頭では樹林帯から飛び出し、野呂川の深い谷が見下ろせました。しかし行く手にはガスがかかったまま・・・。
9:03 広河原峠
正直言うと、このあたりで先に進もうか、広河原に下りてしまおうか、迷っていました。先に進んでも今日は眺望も楽しめそうもないし・・・。
しかし、体力作りのためと割り切り、予定どおりに早川尾根を進むことにしました。もうこの先にエスケープルートはありません。北沢峠発 15:30 のバスを逃さないように気合いを入れるのみです。
9:25 -9:43 早川小屋
樹林帯を水平に進むと、ほどなく早川小屋に到着。テント場ではテントを撤収している単独の方が。その方は今朝アサヨ峰まで往復してきて、これから広河原へ下山するそうです。「これから先、昨日の夕立で濡れていて滑り易いから気をつけて」、とアドバイスしてくださいました。
小屋のスタッフは屋根に上げて布団を干しています。静かな森の中にひっそりある早川小屋はなかなか良い雰囲気。次はぜひここで幕営して静かな夜を過ごしてみたいものです。
この小屋の水場の水も冷たくて最高の味でした。しっかり飲んでおき、行動用にも補充しておいてから小屋を出発しました。
地図に「目立たぬピーク」とあるとおり、どこだったのか判らぬまま早川尾根ノ頭を通過してしまいました。この先はアサヨ峰までコースタイム 3 時間。少しペースを上げるつもりで進みます。
11:51 – 12:05 アサヨ峰
森林限界を超えてもあいかわらずガスに覆われて何も見えないまま、急な岩場を登り詰めて、アサヨ峰に到着。早川小屋から 2 時間ちょっとという良いペースでした。
山頂標の周りには怖ろしいほどに大量のハエがたむろしていて、こりゃたまらん。景色は何も見えないしということで、カロリーメイトを腹に突っ込んで早々に撤収しました。
ここを過ぎると次第にすれ違う登山者が増えてきます。北沢峠や仙水小屋あたりからの往復なのでしょう。
巨岩がゴロゴロした栗沢山へは、晴れていれば楽しい稜線歩きができそう。改めて再訪したいルートです。
13:08 – 13:15 栗沢山
ここもハエだらけで不快です。長居は無用、北沢峠へ早々に下ります。
尾根伝いのルートなので森林限界より上では晴れていると眺めがよさそうですが、結局最後まで晴れてはくれませんでした。
樹林帯に入ってもずっと急降下は続きますが、2200m 付近でやっと緩やかに。このあたりまで来ると峠の方からバスのエンジン音が聞こえてきました。
北沢峠 15:30 発の最終バスを逃すわけにはいかないので、スピードを上げて下山したつもりでしたが、結局ほぼコースタイムどおりにしかなりませんでした。
14:42 駒仙小屋
小屋のすぐ脇に架かる橋のたもとで、仙水峠への道と合流しました。
あれれ?ところでここの小屋って以前は違う名前だったような・・・。手元の 2002 年度版「山と高原地図」には確かに「北沢長衛小屋」と書いてあります。後で調べてみたら 2008 年に改称で、理由は長衛荘と紛らわしいからとのこと。なるほど。
アプローチが良いだけに、ここのテント場は大賑わいでした。きっとこの週末は甲斐駒や仙丈への登山者も多かったのでしょう。
14:51 北沢峠
やっと北沢峠に到着。バス待ちの登山者で混み合っています。
行動時間(休憩を含む)は、昨日が 8 時間、今日が 11 時間半。水平距離は昨日と大して差はなく、むしろ登り標高差は明らかに昨日の方が大きいくらいなのに、かなり差が出てしまいました。やっぱり疲労が蓄積したせいかなあ。
ちょうどタイミング良く 15:00 発の広河原行き増発便があるというので、すぐに乗車できました。とはいうものの、広河原からの山梨交通のバスに増便があるわけでもなく、結局予定通り 16:10 発のバスが出るまで広河原で待つことに。
同時刻に発車した奈良田行きのバスは、奈良田に通じる道路が海の日連休の直前以来いまだに不通なので、空気を運んでいる状態でした。それでもなぜか 3 人ほど乗車していたのは謎でしたが。今夜は奈良田泊で、明日入山するんでしょうかね?
夜叉神駐車場には 16:50 頃に到着。車まで戻ってきました。帰る道すがら金山沢温泉で 2 日間の汗を流し、遅い帰宅となりました。
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