8月14日のうちに、上高地から一気に北穂南陵のテント場に上がっておくことに。涸沢には例年以上に多い残雪がありました。
翌15日はクラック尾根へ。5時45分に南稜のテント場を出発。
北穂山頂からは滝谷ドームの方を眺めると、16日に登る予定の中央稜(写真右側のスカイライン)がよく見えました。なんか凄く切り立っているみたいだけど…ホントにあんな所、登れるんかいね?と思ってみたり。
大キレットの方向へ縦走路をしばらく下り、この辺かな?という位置で登山道から外れると、B沢下降点をうまく発見。「B沢入口」と白ペンキでバッチリ書いてありました。ここでハーネスを装着。
B沢は酷いガレガレ状態で、一歩一歩に気を遣いました。この日は我々が先頭パーティで本当に良かった…。
取り付きへのバンドは崩壊し、現在はバンド入口からいったん登って懸垂下降する形で迂回するのが通常とのこと。白ペンキとフィックスロープがあり、入口はすぐに判りました。
残置支点から真っ直ぐ下に懸垂下降すると、バンドの崩壊部分そのものに着地してしまい、迂回した意味がなくなっちゃいます。ここでは右側に斜め懸垂下降するのがポイント。
着地した場所からは草付きのなんてことない登りですが、ちょっとヤバそうな所もあるので念のためロープ確保することに。まずクラック尾根取り付きまでを1ピッチ目(I)としました。
今回は3人でパーティを組んでおり、この日私はずっとフォローで登りました。
クラック尾根取り付きのテラスには、白ペンキで「↑クラック」と書いてあるのを確認。数年前の写真ではハッキリした字でしたが、今はかなり不明瞭になっています。ここから2ピッチ目(III)。
3ピッチ目(III)は初っ端が悪くちょっと嫌らしい感じでした。そこだけはIV+級くらいありそう。
フェースを登り開放感のあるリッジに上がり、ピナクルの横でピッチを切ります。
旧メガネのコルに下り、ピッチを切らずにそのまま登り返し。ほぼ50mロープ一杯まで延ばし、ジャンケンクラックの取り付きまでを4ピッチ目(III)としました。屈曲箇所が多くなりロープが重そうでした。
さて、クラック尾根の核心であるジャンケンクラックです。左がIV級で右がIV級+だとか。
「右は残置が少なそうだし、簡単な方で良いんじゃない?」とフォロワー2人が日和った発言をしていたら、リードが「難しい方を登っておかないと後で後悔するよ」と。ハイ、仰るとおりです。
ということで、ジャンケンクラック右に取り付いて、5ピッチ目(IV+)とします。実際に登ってみればホールドが豊富で快適な一本でした。
ロープ一杯でピッチを切り、次の6ピッチ目(I~III)は緩いガレ場を歩き、簡単なフェースの登りでリッジ上へ。このあたりはどう登っても良いって感じです。
7ピッチ目(I)だけはフォロワーの2人が先行して凹角下まで歩きました。
後は簡単なもんでした。8ピッチ目(III)は凹角を登り…
9ピッチ目(III)の易しいフェースを登り切ると…北穂小屋テラスのすぐ横に飛び出て、11時過ぎに登攀終了。まさかこんな場所に出てくることになるとはねえ。おかげでロープを仕舞った直後に生ビールで乾杯できました。
午後の長い時間は、翌日の中央稜へのアプローチ路を偵察をしたり、テント場でお喋りしたりして、ノンビリ過ごしました。う~む、3000mでこんなに優雅な時間を過ごせて最高!
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