重力に戯れる愉しみ

最近はフリークライミングばっかり。

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富士山 御中道 2012年9月29日

Page 2 からの続きです。

「スバルライン五合目」の新しい案内板

「スバルライン五合目」の新しい案内板

あれ?こんな案内板あったっけ。「富士スバルライン五合目」って…耳慣れない名称ですが、今後はこれが正式名称になるのかな。

六合目までの間は大勢の観光客に混じりながら歩くことになります。傍からは「こんな昼過ぎに入山するの?」と、奇異な行動に見えたでしょうね。我々としては、ここからが下山って気分です。

吉田口ルート下山専用道を登る

吉田口ルート下山専用道を登る

でも、下山気分になっているのに反して、始めの水平移動の後に結構長めの登りが続くんですよね。

六合目からは吉田口ルートの下山道を逆走することになります。この下山道って、下るには良いのだけれど、登りはズルズル滑って辛いんだよなあ…。一気に登り上げるので、結構疲れました。

下山専用道から御中道踏み跡への入口

下山専用道から御中道踏み跡への入口

下山道にある一番下のヘアピンカーブが、御中道への入口になります。ガスが湧き上がり前途の視界が悪くなりましたが、踏み跡が明瞭なので迷わず進みました。

すると前方から二人連れがやって来たのでご挨拶。お話しをしてみると、実はこのお二人はこれまた富士山達人のyamajogさん御一行で、さきほど不動岩から見えた、大沢右岸を登っていたお二人だったことが判明。大沢右岸から山頂へ詰めて、須走口を下り御中道経由で帰るところだそうです。いやはや、その体力には敬服しました。

yamajogさんがおっしゃるには、「御中道の踏み跡は、7月に歩いた時より確実に明瞭になっている」とのこと。ここ最近はちょっとした御中道ブームになっていて、明らかに歩く人の数が増えているようです。

細い滑沢を横切る

細い滑沢を横切る

やがて樹林帯の中に入りますが、木々の中で突然細いナメ沢が出現したりするのが、この道の面白いところです。樹林帯の中の御中道は、とても廃道とは思えないほどに明瞭な登山道です。

須走口六合目までもうすぐ

須走口六合目までもうすぐ

御胎内を過ぎるとすぐに須走口六合目の瀬戸館の裏手に到着。今回のように時計回りだと問題ないのですが、反時計回りだと御中道への入口が小屋の建物の陰に隠れて判り難いので要注意です。

須走口六合目の瀬戸館

須走口六合目の瀬戸館

これから先の富士山東面は基本的に砂礫の斜面なので、御中道のルートが不明瞭になるはずです。さきほどからガスは下がったり上がったりの繰り返しで、あまり視界が期待できない状況ですが、とりあえず進んでみますか。

須走口登山道を少し山頂側に進むと、御中道への分岐はすぐに判りました。

そのまま下山道までは踏み跡を順調に辿り、下山道を横断した先の白ペンキマークも発見できたのですが、いつのまにか踏み跡から外れてしまいました。ルートミスしたようです。

踏み跡のない砂礫の斜面は、ズルズル横に滑って歩きにくいこと。こういう場所では踏み跡の有難みがよく判ります。

ルートミスして歩けなかった区間を見る

ルートミスして歩けなかった区間を見る

ブル道に行き当たりました。砂礫上のトレースは、高い所から見下さなければ判らないはずだと考え、ブル道を登ってみることにしました。少し登ると御中道を示す赤いペンキマークを発見。無事正規ルートに復帰できました。

下山道を過ぎてしばらく進んだ所からやや登り気味に進むべきでしたが、ガスで視界が悪かったせいか、そのルートを見失っていたようです。

ルートに復帰、これから歩く御中道はこちら

ルートに復帰、これから歩く御中道はこちら

やっぱり踏み跡の上を歩くのは楽。快調に進みます。

二度目のすれ違い

二度目のすれ違い

すると…ガスの向こうから単独の方の影が近付いて来ました。お~!大沢左岸ですれ違ったむらちゃんさんとの再会です。いろいろと話に花が咲き、「少し下にも並行して踏み跡があるが、今我々が歩いている道こそが御中道正規ルートだ」と教えて下さいました。

第1の沢を見下ろす

第1の沢を見下ろす

この滑沢は資料によって名称が違うようですが、大沢休泊所に掲示された概念図では「第1の沢」と称されています。須走口五合目から歩いて行ける「幻の滝」の上流部に当たるのが、この滑沢であるようです。

第1の沢を見上げる

第1の沢を見上げる

赤ペンキででっかく「中道」と書いてあるので、良い道標になります。

富士山はすでに秋本番

富士山はすでに秋本番

それから先は砂礫の斜面をノンビリ歩きました。よく踏まれていて、歩きやすいトレースでした。

送電設備

送電設備

風化した柱が1本立ち、碍子が散乱しています。もはや何かの廃墟にしか見えませんが、山頂へと続く地下送電線の関連設備として今でも現役なのだとか。ほんとかね?

宝永山へのトラバース路

宝永山へのトラバース路

送電設備を過ぎればすぐに御殿場口登山道に行き当たります。実はこの後のルート取りが事前にはよく理解できていなかったのですが、実際には御殿場口登山道を少し登ると、御中道の続きがすぐに見付かりました。

上の写真の真ん中に木の柱が2本立っています。御中道の踏み跡はちょうどその2本の柱の間を通過し、御殿場口下山道とプリンスルートとの分岐付近へ真っ直ぐ延びています。

まだ時間に余裕があるし、せっかくだから宝永山の山頂を踏んでおこうと思いましたが、プリンスルートを下って馬の背に来てみたら身体が飛ばされそうなくらいの突風が吹いていました。こりゃあたまらん…ということで、山頂行きは止めにして、さっさと下山しました。そんなわけで、今回は全くピークを踏まないという面白い山行になりました。

富士宮口新六合目に帰還

富士宮口新六合目に帰還

富士宮口新六合目に帰還。ついに御中道を巡る円環の軌跡が閉じました。雲海荘のおばさんが「登ってきたの?」と声をかけてくれたのをきっかけに、ちょっとした立ち話になり、「秋の宝永山は風が強いんだよ」、「今日、主杖流しを登った人がいるよ」等々、話を聞きました。

当初の計画では17時頃と見積もっていましたが、1時間以上早く富士宮口新五合目に下山できました。ルートファインディング、歩行ペース等、全てが順調に進んで気持良く山行を終えられただけでなく、なにより楽しい出会いもあって充実した一日でした。


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