GPS Log
(橙: 歩行、赤: シール歩行、青: スキー滑走)
記録
日付 | 2011年5月21日(土) |
天気 | ガスのち晴れ |
ルート |
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雑記
猿倉の駐車場には1時過ぎに到着。ひと眠りして4時頃に目を覚まし、山の上を見上げると、稜線は厚く雲に覆われていました。こりゃあヤバいかも…。
林道には雪がぜんぜんありませんね。先週の記録によると、駐車場からすぐにシール歩行できたそうですが。今シーズンはどこもかしこも急速に雪が消えているみたい。
いつもは林道にそのまま進入しますが、今回は「林道の法面が崩壊していて危険」という看板の指示に従い、猿倉荘から夏道を通って林道へ。しばらくは板を担ぎました。
長走沢の手前から雪が現れ始めました。長走沢にはまだスノーブリッジがしっかり残っているので、帰りはスキーのまま渡れそう。金山沢出合の手前でシール歩行に変更しました。
睡眠不足のせいでしばらくアクビ連発。歩くペースがなかなか上がりません。
標高2000mを過ぎてそろそろ急斜面にさしかかるあたりで、やっと身体も頭も目覚めて本調子に。振り返ってみると、後から追い上げて登ってくる人達がパラパラと見えました。
標高を上げるにつれて次第に強くなってくる風が、斜面全体に枯葉を撒き散らしています。もう大雪渓全体が異物だらけで汚れています。
いよいよジグ切りも限界なので、岩室跡の少し下部でアイゼン装着。
再びシール歩行に戻した場所から上は、すっかりガスの中。視界は悪いし、強風に煽られた霧雨がヤッケに叩きつけるし、かなりモチベーション低下。maoyuki さんも私もすっかり口数が少なくなってきました。後で聞いたら maoyuki さんも「二号雪渓は諦めるかな…ま、最悪でも大雪渓を滑れば良いんだし」と、私と同じ考えだったようです。
一面真っ白でしたが、頑張って白馬山荘に到着。今日は大勢登ったようですが、ここまで届いたのは我々だけだったみたい。とりあえず山頂は踏んでおきますか…ということで、空荷で山頂へ。
松沢ケルンを過ぎると、すぐに二号雪渓のドロップポイント。いちおうダメもとのつもりで、偵察してみると…雪は緩んでいて滑落の危険なし。しかも空は次第に明るくなってきて、二号雪渓の下部まで全体が見渡せます。条件は悪くありません。ただし、雪庇からの雪崩には要警戒。
「これなら行ける」と、maoyuki さんと私の意見は一致。
ドロップポイントからわずかに登って白馬岳の山頂に到着。
雲間からは白馬岳主稜が見えました。
こっちは白馬沢ですね。代掻き馬がどの辺りか…よく判りませんが。
さて、山荘にデポした荷物を回収して、再びドロップポイントへ。担いだ板が暴風に煽られ苦労しました。
ガスはすっかりなくなり、空は晴れ上がりました。岩の陰で暴風を避けて滑走の準備を始めます。
松沢ケルンからは壁のように見えていた稜線直下ですが、現地で実際に見るとさほどでもありません。とはいえ、それなりの緊張は強いられる急斜面です。
まず、一番手は私。山頂側で1回ジャンプターンをして慎重に雪庇の下まで斜滑降。その後はジャンプターンの連続で雪庇からの雪崩を避けられる安全地帯にエスケープ。これで一番ヤバい核心は抜けました。ここで maoyuki さんを待ちます。
この安全地帯からは、ドロップポイントから斜滑降する部分は岩に隠れて死角になっているので様子が伺えませんが、しばらくすると maoyuki さんも滑降してきました。これで二人とも無事核心を脱出。
後は、ずーっと下までコンスタントに40度程度を維持する斜面を快適に滑走。胸のすくような高度感に満足満足。
でも…下部は至る所に落石が転がっていて、スキーが時々悲鳴を上げていました。
岩が門のように両側から迫るゴルジュをくぐり抜けると、出合までもうすぐ。出合の巨大なデブリの横まで下ってきて、上部から落石が落ちてこない場所を選び、休憩としました。
大雪渓下部はさすがに緩みすぎてダメダメかと思っていたら、期待以上に良いザラメで白馬尻まで十分楽しめました。
ちょうど金山沢から滑走してきた3人組と、出合で遭遇しました。下から見た感じでは、もう金山沢は賞味期限切れかなあ…と思っていたのですが、ノドの沢はまだ割れておらず、問題なかったようです。
長走沢を少し過ぎたところで滑走終了。眩しいばかりの新緑の風景を眺めながら、猿倉までノンビリ歩いて下りました。
いや~それにしても、やっぱり最後まで諦めなくて良かった。頑張って上まで登れば、幸運が待っていることもあるんですよね。
みなつり殿 こんばんは
2号雪渓ではお世話になりました。
帰ってから過去の滑走記録を読み直すと、
2号雪渓の下部のノドは第2の難関であることを再確認。
時期遅いと雪割れ、滝が出たりして、場合によっては進退窮まるところらしい。
ノドの前で右岸尾根を越えて下部で合流した広い沢へエスケープするのが普通らしい。
そんなことも知らず呑気に通過するなんてお馬鹿さんだったのかな。
まあ結果オーライでしたね。
二号雪渓お疲れさまでした。こちらこそ、お世話になりました。
あ~、あのノド…やっぱり滝が出てくるんですね。そんな雰囲気は嗅ぎとりました。実は、私も右岸に逃げた方が無難そうだと、ちょっと上方で気付いていましたが、なんとなく流れに任せてそのままノドまで真っ直ぐ下っちゃいましたね。最悪の場合の登り返しは覚悟していました…。
ノドはちょっと割れかけていて、水流も見えたので「こりゃマズいかなあ~」と、ちょっと緊張しましたが、ま、無事に通過できて何よりでした。この経験を次回に(って、いつのことだ?)活かしませう。
ひょっとしたらブログでも書いているかと思い検索したらビンゴでした。
2号雪渓、ブジ滑走されたのですね。
自分は下山してから、やけに空が明るいな・・・と思っていたらこんなに視界が
よくなっていたとは。残念!
ウワサの2号も見学してみたかったんですけど。
ちなみに右側の広い沢にトラバースするのは、標高で言うとどのあたりになるんでしょうか?
GPS軌跡見ると、ずいぶん尾根を滑っているように見受けられるのですが。
後学のため教えていただければ(行くつもり?)ありがたいです。
こんにちは。
もしかして、VG Cordova を履いていた方ですか?小気味良くショートターンで滑るのを上から見ていました。カッコ良かったですよ。
ガスガスで敗退を覚悟しましたが、天気が良くなったのは運が良かったと思います。
ルートについて言うと、実際やや雪渓の左岸の尾根を絡めるようにしましたが、基本的には沢筋に忠実に滑り降りました(GPS測地誤差も若干はあるかもしれませんが)。
右側の広い沢は、地形図上でいうとGPSログの南西側・標高2410m付近の荒地記号(縦三本線)に一致しています。トラバースするのは標高2500m弱あたりからです。二号雪渓をそのまま真っ直ぐ下ると両側が垂直に切り立ったゴルジュに落ち込んでしまう様子が、上方から明瞭に目視できるので、現地に行けば判るはずです。
それでは、二号雪渓を楽しんでください…Good Luck!
おぉ
詳しい情報ありがとうございます。
とは言うものの・・・来年以降でしょうかね。梅雨に入ってしまいましたし。
ではまた。
1年ぶりのコメントです。
ウワサの2号雪渓行ってみました。
ケルンから見た限りでは、どう見ても自殺名所にしか見えないのですが。
雪があって板をはいていると、なぜか強気になってしまいますね。
スラフと縦溝にやや気を使いましたが、下の狭いところも無事トラバースできました。
ナイスアドバイス感謝です!
P.S.今年の針の木の動画に写っている登っている人(黄緑)は実は自分です。
あんなところで見かけるとは。世の中せまいですねー
お久しぶりです。
二号雪渓滑走のご連絡わざわざ有難うございます。たしかにケルンから見ると壁にしか見えませんよね。でも稜線からルンゼを見下ろすと「なんとかなるかな」って気がしたのを、私も憶えています。
で、お久しぶりって言いつつ、つい先日も実はニアミスしていたんですね!覚えていますよ。ちょうど我々が針ノ木岳の山頂から滑り降りて来た後に、けっこう近い距離ですれ違いましたよね。たしか、両側をハイマツに挟まれて雪が細くなっていた場所だったかと。
ついでに言うと、実は今週末も結構近い場所にいました。昨日は「旭岳東面と白馬沢右俣」、今日は「白馬鑓から大出原」。私も旭岳東面で派手にスラフを流してしまい、難儀しました。今日は本当は鑓の中央ルンゼ狙いだったのですが、やはりスラフが高確率で流れそうだったので断念。無難に大出原経由で下りました。
今日は小日向のコルから二号雪渓を見上げて、「今週末は誰か滑ったのかなあ…」なんて考えていました。